本論は,モバイル端末が創出するパーソナルデータの利活用時に発生するプライバシー問題の背景理解と,問題予防を,社会調査を通して目指すものである.
半構造化インタビュー調査,および質問紙調査により,「プライバシーの侵害を理解し,抵抗感を抱くものの,モバイル端末の利便性から,プライバシー侵害を受け入れざるを得ない」という,「諦め」の感情を抱くユーザ属性を発見した.
サービス提供企業は,k-匿名化手法などのプライバシー保護技術をデータ利活用時に用いるだけでなく,そのサービスがユーザにとって重要度が高い場合,ユーザに対してサービス提供者が権力的優位に立つとを理解したうえで,データ利活用の施策を検討することが肝要であると示唆できる.
詳細 [pdf: 421KB]
http://www.mcl.iis.u-tokyo.ac.jp/up/research/2015/006.pdf
モバイル端末ユーザーのプライバシー意識に関する調査から,企業とユーザーの権力構造を検討する