報道発表

電子タグを利用した測位と安全・安心の確保に関する実証実験の実施について

平成20年11月18日


東京大学空間情報科学研究センター(以下「東大」という。)、国土交通省国 土地理院、独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」という。)、総務省 消防庁消防大学校消防研究センター(以下「消防研」という。)及び科学警察 研究所(以下「科警研」という。)は、文部科学省科学技術振興調整費「科学 技術連携施策群の効果的・効率的な推進」プログラムの一課題として、平成18 年度から研究開発プロジェクト「電子タグを利用した測位と安全・安心の確保」 (研究代表者:東京大学空間情報科学研究センター 瀬崎薫准教授)を実施し て参りました。

この度、本研究開発の成果を実フィールドにおいて検証するために、実証 実験を実施し、下記の要領で公開いたしますので、お知らせいたします。

本実験の実施にあたりましては、流山市、首都圏新都市鉄道株式会社(つ くばエクスプレス)、東武鉄道株式会社、独立行政法人都市再生機構(UR都市 機構)、株式会社新都市ライフのご協力を得ています。


1. 期 日      平成20年11月26日(水)

2. プログラム

  11:00〜12:00 於: 東京大学柏キャンパス(千葉県柏市) 総合研究棟470号室
            研究開発プロジェクト及び実証実験の概要説明
  13:00〜15:00 於: 流山おおたかの森駅周辺(千葉県流山市)
            実証実験の公開
※ 概要説明会場から実証実験公開会場までの移動は、公共交通 をご利用下さい。
※ 公開実験の見学や取材を希望される場合には、本件に関する 問い合わせ先まで事前にご連絡頂きますようお願いいたします。
実施場所(PDF)

3. お問い合わせ先

研究機関のお問い合わせ先 (PDF)

プロジェクトの概要

〜研究開発プロジェクト「電子タグを利用した測位と安全・安心の確保」〜

1.プロジェクトの経緯

平成16年度に、内閣総理大臣を議長とする総合科学技術会議が、国家的・社会 的に重要であって関係府省の連携の下に推進すべきテーマとして、「科学技術 連携施策群」を定め、その一つとして、「ユビキタスネットワーク・電子タグ 技術等の展開」が選定されました。それに基づき、文部科学省が科学技術振興 調整費による委託研究として、平成18年度に本プロジェクトを選定し、3年計 画で実施することになりました。

2.プロジェクトの概要

電子タグ(ICタグ、RFIDともいう)は、無線通信回路とアンテナを内蔵し、 端末との間で非接触の情報授受ができる小型電子部品です。商品に取り付け て在庫管理等の自動化に役立てる用途のほか、児童が電子タグを持ち歩いて、 環境に設置された受信機により居場所を把握する通学路見守りシステムなど に応用されつつあります。

本プロジェクトでは、この電子タグを位置の基準点として使い、平常時利用か ら防災・防犯まで幅広く役立てる技術の確立を目指して、以下の3つのサブテー マに取り組んでいます。

(1)電子タグを位置の基準点として環境に安価に設置する手法を開発す る。(国土地理院)

(2) 基準点から得られた位置情報を端末群が交換しつつ、GPSや地図デー タ等他の情報を加味しこれを高精度化する技術を確立する。(東大)

(3) それらの技術の上で、災害救助や、防犯活動時の見守り対象である子 供の日常行動圏の正確な把握など、国民の安全安心に資する応用システムを開 発する。(消防研、科警研、NICT)


実証実験の目的とデモの内容

1.実証実験の目的

本プロジェクトでは、位置情報源である電子タグを設置するインフラ整備 技術から、端末の位置精度を向上させ、安全・安心の確保のための具体的な アプリケーションまでを示すことを目指しています。そのため、プロジェク トの最終年度に当たり、科学警察研究所による調査を通じて明らかになった 児童の日常行動圏の実態もふまえ、実際の街に電子タグを多数設置して、実 証実験を行うことにしたものです(下図)。

2. 実証実験におけるデモの概要

(1)インテリジェント基準点による効率的な測量作業のデモ

流山おおたかの森駅周辺に、電子タグを組み込んだ測量の基準点(公共 基準点4級相当、「インテリジェント基準点」)を設置し、試作した測量機 器を用いて、インテリジェント基準点と相互に通信しながら効率的に行う測 量作業を公開します。


[流山おおたかの森駅周辺に設置されたインテリジェント基準点(電子タグ 内蔵)]


[インテリジェント基準点を利用した効率的な測量作業]

(2)電子タグとGPSによる測位デモ

GPSによる位置の把握が難しい屋内において、位置のわかった電子タグを配置 し、GPSと電子タグを併用して、自己の位置を把握するデモを行います。この 中で、通常の電子タグとともに今回試作した「電子タグテープ」(注)も使用 します。

(注)電子タグテープは、電子タグ回路とアンテナを一定の間隔で配置したも ので、このテープを床や天井などに、直線状に張ることで、定められた位置に 効率的に位置情報源を設置できることになります(下写真)。また、電池を集 約することにより、電池交換の作業を効率化します。

(3)位置情報を端末間で交換して高精度化するデモ

端末を持った歩行者は、電子タグの近くに来たときに位置情報を直接取得 できます。近くに電子タグが無い場合は、携帯している歩行者用慣性航法ユ ニットを利用して自立的に位置を把握しますが、その場合は誤差が累積して いく問題があります。その解決のために、他の歩行者とすれ違う際にそれぞ れが持つ位置情報を無線で交換して照らし合わせて、存在範囲を絞り込むこ とで、お互いに誤差を削減して、位置の精度を高め合う技術を開発しました。 (下図) 実証実験ではそのデモを行います。

(4)電子タグリーダ一体型携帯電話端末による救援要請通報のデモ

火災や事故の発生時に、救助を行う部隊が速やかに災害現場に到着するた めには、救援要請通報の正確な発信位置の特定が不可欠です。携帯電話から の発信については、基地局測位あるいはGPS測位による位置情報通知システ ムの導入が、平成19年4月から始まったところです。しかし、階数の情報が 必要な集合住宅や地下空間などでは従来の測位技術では精度が不十分な場合 があります。そこで本プロジェクトでは、部屋に設置した電子タグが発する 位置信号を携帯電話端末が直接受信して、発信位置情報を伴った救援要請通 報を可能にするプロトタイプシステムを開発しました。実証実験では、 300MHz帯と2.45GHz帯の電波を使用する2種類の電子タグをそれぞれ受信でき る携帯電話端末(下写真)を用いて、ガード下の自由通路などGPS測位が難 しい場所での位置情報の取得をデモします。

(5)ハイブリッドRFIDモジュールプロトタイプを用いた大規模災害時に おける被災情報共有のデモ

本プロジェクトで採用した各種電子タグをシームレスに扱える端末として、 「ハイブリッドRFIDモジュールプロトタイプ」(下写真)を開発(注)しま した。電子タグは、情報の書き込みもできるのが大きな特長であり、街中に 電子タグが多数設置されている場合には、災害時に被災情報の交換手段「電 子貼り紙」として活用できます。実証実験では、本プロトタイプの機能の一 つとして開発した、安否情報などを電子タグに書き込み読み取る機能をデモ します。

(注)本プロトタイプの利用イメージ
 屋外を歩いている時は、GPS受信機能によって自らの位置を大 まかに把握しています。インテリジェント基準点を見かけると、アンテナを かざして、自らの位置情報を正確に把握します。建物内に入ると、電子タグ リーダ一体型携帯電話端末用の電子タグからの信号により、部屋の区別がで きる程度の精度で位置を把握します。部屋に入ると、電子タグテープからの 信号により、1m程度の精度で位置を正確に把握します。そして電子貼り紙を 見かけると、アンテナをかざして、情報を読み書きします。(実証実験では、 電子貼り紙の読み書きの部分のみデモします)