Masayuki IWAI Research Page

特殊な素材を用いたRFIDアンテナの開発

2特殊な素材を用いたRFIDアンテナの開発

非接触のRFIDの重要性はますます高まり,物流,医療,教育,商品管理などの分野で需要が伸びていくことが予想される.しかしRFIDのアンテナは旧来のプラスチックケースに入った形状から脱却しておらず,その用途は利用者がカードをアンテナが入っている『機器にかざす』という限定された方法でしか利用できていなかった.本研究ではRFIDのアンテナの素材をガラスや布と特いう殊な導電体を用いて形成する研究を行い,テーブル,商店の棚,窓ガラスなどの新たな用途への拡大を図り,RFIDの応用範囲を広げることを目標とした.また,RFIDアンテナにおいて,ガラスアンテナの個数や形状を検討した結果とともに,オブジェクト認識のための基盤ソフトウエアとアプリケーションを開発した.

 

 

 


 透明導伝膜とガラスの三層サンドイッチ構造 ガラスRFIDにタグをかざし関連する情報を即座に投影している様子

また布型RFIDに関しては電導性の布を利用し,8個のアンテナを接続する.これらのアンテナは独立してタグを認識できるためタグIDの認識だけではなく,RFIDタグが置かれているエリアに着目する研究を行った.布アンテナのそれぞれの中心にタグを埋め込んでおき,認識したアンテナと縫いこまれたタグの組み合わせから2つ折り形状である,重なったといった認識も可能になる.更に曲げる,くるむ,かぶせるといった布の構造が把握できるためいままでのアンテナとは異なるタグの認識の手法が可能になった

      図 同時に8個のエリアを認識できる布型アンテナ

様々なオブジェクト(日用品やオフィスでの書類,商品など)をRFIDで認識可能になるとその管理を統一的に行える基盤ソフトウエアとしてオブジェクト管理ミドルウエアを開発した.本ソフトウエアは,複数のリーダライタから収集するデータを集め,分散するリーダライタの情報を集約し,全体の構造とつながりを解析する.認識したRFIDのメタ情報とサービスをDBでマッチングさせるクライアント側,アプリケーションを起動させる命令を行う.

 実オブジェクト管理ミドルウエアの構造

分散コンポーネント間アプリケーション構築ミドルウエア

組込みコンピュータは計算能力を有して,ハードウエア的な制御を,ソフトウエアとして動作させることが可能になっている.各コンポーネント同士を協調させてアプリケーションを構成し知的空間(スマートスペース)を構築し,ユーザの生活支援などをすることが可能になった.こうしたアプリケーションはユーザの状態や嗜好によって高頻度で目的や構成要素が変わってくる.しかし,アプリケーションの構築は依然として高度なスキルを有するシステムエンジニアの作業が不可欠であった.本研究では利用者自身が各コンポーネントの管理やそのコンポーネントを組み合わせて構築を行えることを可能にした.uBlocksと名づけたミドルウエアの設計,開発,評価を行い,その有効性を数多くのアプリケーションを用いて実証した.uBlocksは,他の構築用ミドルウエアとは異なる以下の3つの点を特徴としている.

 1に,Dragonという自由度の高いコミュニケーション手段を提供する. Dragonは,コンポーネント間の接続をあえて限定せず,階層的に接続レベルを設定できることで,柔軟なコンポーネント間の接続を可能にする.


4 uBlockのコンポーネント内部の構成とブラウザ

 

2に,RT/Dragonというリアルタイム性を有するコミュニケーション機構を提供する.図4左のRT/Dragonにより,コンポーネント間の通信に優先度をつけ,構築するアプリケーションを安定させることが可能になる.さらに,コンポーネント自己防衛を行う機構も提供し,ユーザが構築するアプリケーションを負荷が高い状況で安定させることを可能にした.第3の特徴は,統一的なモデル化の手法を提供していることである.モデリングエンジンとよぶ機構は,ユーザに現在の分散コンポーネントの存在を認知させ,それらの関連を把握させるための機構である.多様な構築用グラフィカルインタフェースを提供し,容易なアプリケーションの構築を可能にした. 本ミドルウエアにより,ユーザによるアプリケーション構築を容易にし,利便性が向上すると共に,コンポーネントプログラマの開発コストも同時に軽減できる.

4.センサノードを用いたマーケティングツール

近年オンラインショップやネットオークションを中心とするCyber Commerceが増えつつあり,“どこにいても”通信販売によって購入できる便利さは逆に均質化が進み売り手主導の経済活動が進んでいるといえる.対極的に,秋葉原におけるリアルな空間での消費者の購買活動は,そこから新しい「ラジオ文化」「パソコン文化」「オタク文化」「世界のAkiba」を創造し常にカルチャを創り出す原動力となっている. この地域の購買特性に着目し実世界経済活動を支援する新しいユビキタス技術を検証した.温度,振動,照度を検知可能な小型無線センサノードを各商品に取り付け,ユーザが商品を選択する際の『手に取る動作』から注目度とそのランキング把握するLive! Commerce Systemを構築し,秋葉原の実店舗において実証実験を行った.

利用したセンサデータは,光センサの変化量および振動ボールセンサである.光センサは0-255段階で光の料を1秒ごとに計測し変化量を計測し,大きく変化があったセンサを"Touch Event"として記憶する.また振動ボールセンサは,1秒間隔で振動回数を計測し振動の変化があったものを振動累積カウンタとして記憶する.

 


:商品に取り付けた小型センサとLive! Commerce Systemの起動画面

 

小型センサuPartを各商品に取り付け,ユーザが商品を選択する際の『手に取る動作』から注目度とそのランキング把握することで,ユーザに違和感なく商品の比較情報を提供し,店舗経営者に各商品の注目度を容易に提供できるシステムであること実証した.またNHK『おはよう日本』の生中継の取材 [VII-27]を受けるなど社会的期待も大きい研究であるといえる.成果はとしては,[VI-3]としてまとめた.

5家具の知的化プロジェクト

家具の知的化によりユーザの処理効率を高めることは急務であるが, 組込基盤のコストが高く,すべての家具にたいして基盤やセンサを組込ことは不可能である.そこでユーザが自由に好きな形に組みかえることが可能なボードを開発した.複数のu-Textureを組み立てることによって,テーブルや机,棚などのファニチャを物理的に構築することができるが,その組み立てた形状を各々のu-Textureが自己認識し,組み立てられた形状に対応して適した協調動作を行うことが可能である.これにより,u-Textureで組み立てた壁がマルチディスプレイとして自律して機能したり,共同作業ディスプレイ機能を持ったテーブルとして機能したりすることが可能である.

uTextureボードの設計と開発、ソフトウエア設計を分担した。

 

uTX22_appearance_nao
 

 

 

 

 

   

:uTextureBoadと組み合わせた家具

のように,4辺のそれぞれに別のu-Textureとの接続および近接を認識するためのIRセンサがそれぞれ取り付けられている.また,自己の傾きを3次元的に認識するセンサ,ディスプレイへの利用者からの手入力を認識するタッチポネル,RFIDタグを認識するRFIDタグリーダがセンサモジュールとして実装されている。

 

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